クラッシック音楽

クラシック

2009年11月17日 (火)

バイエルン放送管弦楽団

今回は2つの演目に行った。これは以前、ロンドン交響楽団の時にもあったのだけど、今回はちょっと違う。1回目を聞いて、あまりの素晴らしさに帰りにチケット売り場に寄ってもうひとつの演目の日を押さえたのだ。それだけ素晴らしかったと言うこと。

まずは木曜日にドボルザークのチェロ協奏曲とワーグナーだった。私は要するにこのチェロ協奏曲を演奏するのがヨー・ヨー・マだったからチケットを予約していたのだ。というのもこの2年間、ヨー・ヨー・マのコンサートでは泣きを見ている。一度目はバッハの無伴奏チェロ全曲のコンサート、二度目はベートーベンのソナタ。いずれもかぶりつきの席を確保したのに、出張で泣く泣く人に譲ることになってしまった。

やっとリベンジが叶う。が!なんと眠ってしまったのだ。ドボルザークのチェロ協奏曲は好きな曲だ。なかなかチェロが始まらないけど、インパクトのある入り方。そこまでは良かったけど、ほとんどうつらうつらしていた。原因は体調不良。頭が痛いのが直りきらず、まだ喉も治っていない。

でもなんとかこらえて鑑賞した時間帯もある。ヨー・ヨー・マは貫禄があった。アンコールでは完全に目覚めて聞けた(笑)。

ジャン・ベリエール「二つのチェロのための二重奏曲」から第3楽章
サイグン「無伴奏チェロ組曲」からアドニー

二重奏曲?拍手に迎えられたヨー・ヨー・マはおもむろにチェロ奏者の所に行って「貸して」と言って座ってしまった。そしてチェロのマスターと二人で素晴らしい演奏を。このチェロの主席奏者が若くて巧い。

さて休憩を挟んでワーグナーの曲集。これは圧巻だった。正直寝てる場合ではない。音の厚さも、広がりも、緩急をつけた流れも吸い込まれるようだった。

マリス・ヤンソンス(指揮)は素晴らしくコントロールをしている。

終わっても拍手は鳴り終わらない。楽団員が皆いなくなっても拍手は続いている。そしてヤンソンスが誰もいないステージにまて出てきて挨拶をする。

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(写真は日曜日でヤンソンスが挨拶をして下がるところ...しか撮れなかった)

私はすぐにサントリーホールのチケット売り場に走った。今回はもったいない聴き方をしたが、ちゃんと聴こうと。しかも演目はチャイコフスキーの5番だ。残念ながら月曜日は売り切れ。五嶋みどりがベートーベンの協奏曲を弾くから分かるが。しかし日曜日も同じチャイコフスキーの5番がある。なんと、前から4番目の通路側が空いているではないか。早速購入したわけ。

日曜日には頭痛もなく会場入り。せっかくなのでツイッターでつぶやきながら。

席は4列目で真ん中よりも少し左。ヴァイオリンの目の前。ツイッター情報では当日「サプライズがある」とのことで期待も高まる。これぞツイッターの醍醐味。

演奏はブラームスの交響曲2番から始まった。この曲を聴くとなぜか郷愁を誘う。こんもりとした森とむせるような霧がわき起こる。

右を向くとチェロの列がまっすぐ見える。そして驚いたことにこちらを向いているチェロの音が直撃をしてくるポジションだった。なんと息のあった美しい響きだろう。バイエルン放送管弦楽団のチェロはレベルがかなり高い。しかも主席も第二主席(って言うのかな?)も30そこそこの年齢。見るとコンマスのヴァイオリンも若い。若い才能を見いだしてチャンスを与えるのだろうか...。

なぜチャイコフスキーにこだわってチケットを買ったのか。それはヤンソンスの経歴を見たから。なんとレニングラードでムラビンスキーに師事していたのだ。そして私が感激したムラビンスキー指揮のレニングラードフィルによるチャイコフスキーの5番。そう、あれがもしかしたらヤンソンスは実現してくれるのかも、という期待だ。

そしてその期待はほぼ当たり。確かにツイッターである方が指摘されているようにトラブルがあり演奏が完璧だったかというとそうではない。音の出だしが間違っていたり、そんなことはでも忘れてしまうぐらい素晴らしかった。

レニングラードフィルのあの、楽器がつぶれてしまうのではないかと思うような重厚な管までは届かない(楽器の作りがロシア製は違うらしい)にしてもぶ厚いことは間違いないし、全体がエネルギーに充ち満ちていた。

さてサプライズはなんだったのだろうか?これが分からなかった。おそらくヤンソンスがCD購入の方にサイン会を実施したのだが、これだろう。私もチャイコフスキーの5番を買った。そして並んだ。

並んだ先は地下の駐車場。そこから楽屋に入ったところにテーブルを置いてサイン会。30分たっぷり待たされた。その間、演奏を終えた楽団員が全員歩いて列の横を通った。正直チェロの若い二人が歩いてきたときには写真を撮って握手したかった...がこちらも一人で列を離れられず出来なかった。

残念だったのはCDが黒い色にもかかわらず黒のマジックしか準備されていなかったこと。サプライズなら周到に準備すべきたど思う。ヤンソンスはサインで忙しくてこちらの目も見てくれなかったしね。

とは言っても演奏が素晴らしかったことには変わりがない。

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2009年10月20日 (火)

バンベルク交響楽団

10月19日(月)サントリーホールにて行われたバンベルク交響楽団に行ってきました。

つい先日はNYP(ニューヨークフィル)が同じ場所であったのですが、ほぼ満席であったのに対して、こちらは1階にも空席が目立ちました。私が座ったのは右側の4列目でしが、そのブロックだけなぜかほとんど人が座っていない状態。スポンサーがついている、いない、というのと、ブランドの違いでしょうか。しかし2.5万円払って2階席の端に座ったのに対して、1.6万円で4列目でこの内容。正直大満足で、更に言わせてもらうと「来ないと損だね」という感じです。

今回の来日はブラームスのチクルス。私の選択はヴァイオリン協奏曲と交響曲2番。

まずはヴァイオリン協奏曲です。ヴァイオリンはクリスティアン・テツラフ。先日はNYPで同じ演目。対照的な二人でした。

そもそもブラームスのヴァイオリン協奏曲はなかなかヴァイオリンのパートが始まらない。テツラフはヴァイオリンを抱えたまま目をつぶって瞑想。そして弾き始めると一転凄い集中力と体の動き。軽やかにそして貴族的なツィンマーマンに対して、どう猛に挑むテツラフ。

圧巻は第3楽章。弓の毛が切れてしまった。よくあることだとは思うのですが、一番激しいパートで切れた毛がどこかにからんだのでしょう、弓がヴァイオリンの胴体に引っかかり「ガツン!」と音がして演奏が一瞬途切れた。これって4列目に座っていたから目の当たりに出来たのです。こういうアクシデントはライブならではだと思います。むしろその集中力のライブ感が私には興奮でした。たまたまですが、コンマスのヴァイオリンも同じあたりで毛が切れてフラフラしていた....過酷な曲なのですね。

アンコールはこれまたバッハ。ツィンマーマンもバッハだったけれど、彼はステップから一転して崇高なバッハを演奏して観客を魅了した。しかしテツラフはリラックスして、柔らかくバッハを弾いたのです。これも対照的でした。

オケの演奏は、私には様々な色の落ち葉が積もった大きな公園を思い抱かせました。そこに包まれた孤高のヴァイオリニスト。

さて、ブラームスの2番です。演奏が始まってすぐに私に迫ってきたのはドイツの深い森です。しかも何故か凄く懐かしい。帰ってきたよ、という郷愁を抱きました。ドイツでは6番目にランクされるこのオーケストラですが、ドイツで6番目というのはかなりレベルが高い、ということですね。シャープではないけど暖かい。

アソシエイト・コンサートマスターの砂原亜紀さんが素敵な笑顔で演奏されていました。これも前の方の席に座っている良さですね。演奏者の表情がよく分かる。砂原さんの素敵な表情を見ていると「このオーケストラはファミリー的な暖かいチームに違いない」と確信をしました。

またコンマスのPeter Rosenberg氏がいい!190センチはあろうかという体躯。しかし演奏中の様子を見ていると何事も真剣。一音一音に情熱を込めて、指揮者と一体になりながら何一つ手抜きはないぞ、という見事な演奏。この人は生真面な情熱家と見た。

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アンコールが終わってもすこし去りがたい気持ちになる、演奏でした。

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2009年10月14日 (水)

ニューヨーク・フィルハーモニック・オーケストラ

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10月9日(金)にサントリーホールで行われたニューヨーク・フィルハーモニック・オーケストラ(略してNYPだそうです)を聴きに行きました。

会場に着くといつものオケとはちょっと違った雰囲気がありました。とにかく60代から70代の紳士やその奥様が多い。会社役員の社交場のような空気です。

プログラムを買って見てみるとその謎は解けました。この一連の来日コンサートのスポンサーがクレディスイス銀行、三井物産、日本ユニシスと3社がついており、間違いなく招待者がたくさんいるのです。その招待者とはもちろん企業のトップの皆さん。そしてこれも間違いなく奥様連れです。入り口で企業幹部の方々が、お客様をみつけては丁寧にご挨拶をされていたのもそれが理由です。

自分も招待される身分になりたいか?いえいえ、自分でチケット(ちなみにA席でも2.5万円もします)を買っていくから身になるのですよね。(負け惜しみか...)

さてこの日を選んだのはブラームスのヴァイオリン協奏曲をツィンマーマンが演奏をするからです。それとベルリオーズの幻想交響曲。指揮者のアラン・ギルバートは就任直後でまだ評価も定まっていないし。

ツィンマーマンはヨーロッパの貴族的なしなやかさを持ったヴァイオリニストでした。これまではCDで接してきたのですが、パガニーニの24のカプリスなど若い頃の挑戦的な演奏。40代も半ばになると風格もそれなりに出てきて演奏にも幅が感じられます。

なにより目立ったのはそのステップ。狭い空間で軽やかにステップを踏みながら演奏します。協奏曲でもヴァイオリンはしかめっ面して、集中力を高めながら自分の世界で下半身を安定させながら、上半身を激しく揺さぶる演奏はよく目にします。しかしツィンマーマンはステップを踏みながら軽やかに、しなやかに演奏をしました。

アンコールのバッハは心に染み渡るようでした。会場は水を打ったように静まりかえり、隅々まで音が染みこみ、観客を酔わせました。ぜひ一度バッハのヴァイオリン独奏を聴いてみたい。

NYPは見てみると東洋人の演奏者が多い。プログラムで名前を確認すると日本人は2,3名。まさにNYです。アフロアメリカンの演奏者もおり、人種のるつぼと言われるNYの象徴なのでしょう。

ベルリオーズの幻想交響曲は良くできていました。特に右奥に座った管楽器。中央の打楽器もよく響いていた。全体によくまとまっていたけど、物足りないとしたらもっとダイナミクスがあっても良かったかな。4楽章の「断頭台への行進」はどっか~ん、と来て欲しいところ。

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アンコールは3曲(写真)。

3曲目に入るときにアラン・ギルバートが、これで終わり、とばかりに、ご飯を食べる仕草をして「早く帰ってメシ食いたい」っていうメッセージ。これが会場を沸かせました。

 

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2009年7月 1日 (水)

神尾真由子 ヴァイオリンリサイタル6月30日

東京オペラシティーホールでの神尾真由子のヴァイオリンリサイタルに行ってきました。ピアノは佐藤卓史です。

先日はオケとの共演での協奏曲だったのですが、今回は神尾真由子の演奏だけを堪能しました。いやぁ、びっくりです。感動が後をひきました。

席は後ろから4番目くらいで、ステージにはほど遠い場所でした。ホールを見ると至る所に音響効果を考え抜いたしかけがありそうです。

演奏曲目は以下

ブラームス:スケルツォ(F.A.E.ソナタ)
サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ短調Op.75
ブゾーニ:ヴァイオリン・ソナタ第2番ホ短調Op.36a
ワックスマン:カルメン幻想曲

まずブラームスのスケルツォが始まり、その音響が気になります。残響効果なども考えてあるのでしょう。後ろの、しかも右側にいるといろんな場所から音が飛び込んできます。ピアノのようなシャープな音の立ち上がりの楽器はいいのでしょうけれど、弦楽器にはちょっと厳しい。「遠くで鳴っているぼやけた感じ」で聞こえてきてしまいます。

しかしそれもつかの間、サン=サーンスに入るとそんなことはお構いなしに神尾ワールドにどっぷりと浸かることになってしまったのです。

彼女の特徴はそのダイナミックさにあると思います。高音はシャープに透明に、低音はチェロのように太く響かせて。それを自由自在に扱い、存在感はまるで大御所。

ブゾーニなんて聞いたことがないヴァイオイリン・ソナタ。30分の演奏とプログラムに書いてあります。途中で飽きないかな....と思っていたら、なんとあっという間に終わってしまった。それだけ演奏に凄みがあり、聞いている側も集中しているのです。

そしてカルメン幻想曲。CDに入れただけあり、完全に自分のものとして弾きこなしている。縦横無尽に動く楽器と弓。その動きがしなやかで、聴くだけでなく見る側としても吸い寄せられます。そして音がもつ粘着性。吸い寄せられる、と書きましたが、感性としてはこちらが「張り付いてしまう」。

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アンコールは予想通りのパガニーニのカプリス。絶対、と信じていたらその通りに。すさまじいばかりの情熱。ちょっと早すぎて雑な部分もあったと思うけど、このパワーなら許す。

そして終わってから聴いていた私が感じた心地好い達成感と倦怠感。

まるで気に入った異性と食事で会話が盛り上がり、そして駅で別れた後に残るその満たされた、でもまだ一緒にいたいという気持ち。わかりますか?

すでに円熟味はあるものの、また男女の「性」を超えた部分が強みながら、女性の艶やかさが出てきたら彼女ははとんでもない演奏家になりますね。

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2009年6月23日 (火)

神尾真由子とロシア・ナショナル・フィルハーモニー交響楽団

6月19日にみなとみらいホールで行われたロシア・ナショナル・フィルハーモニー交響楽団 のコンサートに行った。

目当ては神尾真由子のチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」。観客のほとんどがそうだったのではないか?

まずはチャイコフスキーの「ロミオとジュリエット」から。静謐なそしてシャープな演奏だった。

そして神尾真由子の登場。すでに彼女からはオーラが出ているのを感じた。昨年は同じ曲目を五嶋みどりで聞いた。神尾真由子のヴァイオイリンは図太い。特に低音の力強さには圧倒された。そして繊細な高音。このバランスを見事に表現出来ている。

指揮者はウラディーミル・スピヴァコフ。ヴァイオリン奏者とのことで、アメリカツアーで彼女も指導を受けたことがあるようだ。とても難しい抽象的な表現をするようで、彼女の楽器をやおら手にとって「こう弾くんだ」とばかりに1フレーズを弾いてくれたとのこと。「分かったか?」と聞いた彼に対して、神尾は「分からない!」と言ったとか。その時点ですでに大物の片鱗。

しかし彼女の演奏と、日本人としてチャイコフスキーコンクールで優勝したという実績。なんか追っかけになりそうな予感がした(爆笑)。

そして後半はチャイコフスキーの交響曲5番。たまげた。正直、神尾真由子を聴きに来たのに、ウラディーミル・スピヴァコフの指揮とこのオケのレベルの高さに度肝を抜かれたのだ。

ウラディーミル・スピヴァコフは冷徹な印象を与える指揮をしていた。指揮棒で突き刺すような動きに、楽団員を見る厳しい視線。まるでムラビンスキーを彷彿とさせる(といってもYouTubeで見ただけです)。

そしてなにより演奏が完璧なのだ。全てのパートは細かくコントロールされ、音の緩急や強弱は流れるように余韻を残す。そして全体のバランスがよくまとまっている。

目をつぶって聞いていると山並みが見えた。靄のかかる山々。雲が幾重にも流れている。その雲はそれぞれのリズムでゆったりした波長で山をうねっている。それぞれの雲は少しずつ異なる波長で、明るい雲もあり、薄暗い雲もあり、しかしすべてが統率を取れた美しい流れを醸している。山はどっしりと悠然と構えて睥睨しているのだ。

結成が2003年、当時のプーチン大統領の肝いりで立ち上がった歴史の浅いオーケストラだが、よくぞここまで鍛えたものだ。ロシア人の演奏家の実力も相当なものなのだろう。

しかし冷静に考えるとまだまだこのオケの味、というものが出てくるのはこれからだ。完璧主義は逆に面白みに欠ける。そう、楽団員はほとんど笑わない。冷たい印象だった...。

いずれにしても終わってからの観客の驚きは並大抵のものではなかった。そしてアンコールはなんと3曲。

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そして私は終わってからの神尾真由子のサイン会にしっかりと並んでいたのでした...。今月出したCD,パガニーニの「24のカプリス」のCDにサインをいただきました。

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2008年12月11日 (木)

フィルハーモニア管弦楽団

12月9日(火)にサントリーホールで行われたアシュケナージ指揮のフィルハーモニア管弦楽団を鑑賞した。

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ロンドンを代表する5つのオーケストラの一つで、私はこの1週間の間に東京で2つのロンドンを拠点とする世界的なオケに接したことになる。まさに世界の都市東京で、私がなかなか東京を離れられない理由の一つだ。つまり、世界の一流が集まる都市だということ。音楽にしても、絵画にしても、また様々なイベントは東京に集まってくる。そんな都市は世界ではニューヨーク、ロンドン、パリ、そして東京ぐらいなものだろう。

さて私の席は2階席のLB、つまり左側だった。席からはちょうどヴァイオリンパートが真下に見下ろせる位地。どちらかというとオケ側にいる気分で、楽団員が立って観客席に挨拶をすると、一緒に立ち上がりそうになってしまう。

初めてこの席に座ったけど、なかなか良い経験だった。演奏者の動きや足下、つまり踏ん張りの様子や、荷物を置いている場所など(笑)がよく見える。

演目は以下

メンデルスゾーン:序曲「美しきメルジーネの物語」作品32
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64(vn諏訪内晶子)
チャイコフスキー:交響曲第4番へ短調作品36

アシュケナージの指揮は一言でいうとまじめでしっかりしている。先週のゲルギエフがダイナミックに、そして繊細な指使いで指揮をしたのとは対象に、指揮台に立つと数秒も待たずに指揮棒を降り始める几帳面さ。

諏訪内さんのヴァイオリンは初めてだったが、女性らしく繊細、かつエネルギッシュ。まぁ先週のワディム・レーピンのヴァイオリンの印象が男らしさ、だったので対象的に映ったのかもしれないが。

残念だったのは席が彼女の背中側だったこと。表情や演奏のスタイルはほとんど見えなかった。肩と背中の筋肉がよく動いていることは確認出来たけど。

チャイコフスキーは正直言ってムラビンスキーの印象が強すぎてどうしてもその演奏を比較してしまう。特に管のイメージが先行している。でもフィルハーモニアのホルンはしっかりと音を出していて、そのうえきれいだった。チューバもがんがん鳴っていた。弦も負けずに頑張っていた。

アンコールは...

諏訪内:バッハのヴァイオリンソナタから

オケ(弦のみ):シベリウスの悲しきワルツ

アシュケナージのまじめな性格なのか、全体的に聴衆と向き合う、というよりは自分流で堅く、そしてあっさりとコンサートは幕を閉じた。

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2008年12月 6日 (土)

ロンドン交響楽団のプロコフィエフ

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プロコフィエフ・チクルスに2回行くことが出来た。まさに「行くことが出来た」のだ。まったく自分にあきれてしまう。ゲルギエフ指揮、ロンドン交響楽団のプロコフィエフ交響曲全集のCDを買い、なんども聞いてこの日に備えていた。ところが、あることをきっかけにして、買い貯めていた(?)複数のオケのチケットを全部紛失してしまったのだ。

おかげでサンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団には行くことが出来なかった。そもそものきっかけはこのサンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団のあるコンサートが中止になり、チケット料金の払い戻しがあったことだ。管理していた全てのチケットを出して、該当するチケットを探して、そうでないチケットをまとめて仕舞った...仕舞ったはずのチケットがない...。

家や会社をまさにひっくり返したように探したのだけどない。あ~ぁ。しかしプロコフィエフは行きたい、ということで主催者に電話をしたところ、なんと発券記録があるので仮券を出してくれるとのこと。ネットで買うと記録が残るので良いのだ、と改めて関心。

と、前置きが長くなったが、以下に出かけることが出来た。

12月4日
  交響曲3番、ピアノ協奏曲3番、交響曲4番(改訂版)
12月5日
 交響曲4番(オリジナル)、ヴァイオリン協奏曲2番、交響曲5番

プロコフィエフを堪能することが出来た。プロコフィエフを堪能するにこの組み合わせがひょっとすると今一番なのかもしれない。自身満々の脂の乗りきったゲルギエフ、柔軟性の高い交響楽団、ロシア出身の新進気鋭のソリスト達。

交響曲3,4,5番はダイナミックレンジが非常に高い。特に最終楽章のフィナーレに向けて全ての楽器が単独の特色を出しながら大きなうねりとして結束し、爆発的に終わる。ゲルギエフの緩急をつけた演出と楽器の色、ホールの響きと残響が聴衆の胸にいつまでも響き続ける。

アレクセイ・ヴォロディンはピアニストであるプロコフィエフの超絶技巧を要するピアノ協奏曲をなんなく弾きこなす。右手と左手が常に交錯するような難曲。席が鍵盤がよく見える左側前方だったので、その技巧をくまなく目の当たりにすることが出来た。

ワディム・レーピンのヴァイオリンはその体躯のように太くて力強い。ピアニストによるヴァイオリンの曲は超絶な技巧を持ってして初めて弾きこなせる。アンコールはゲスト・コンサートリーダー(コンマス)のアンドリュー・ハバロンとの「2つのヴァイオリンのためのソナタ」。会場が熱に包まれた。

交響曲5番は圧巻だった。静寂と興奮。究極まで上り詰めるエンディング。その直前にヴァイオリンとチェロとビオラのソロがエネルギーを強烈に解き放つ。

アンコールはロメオとジュリエットから。拍手はいつまでも続く。日本では珍しいが、楽団員が退場しても拍手は鳴りやまない。団員が去って椅子だけが残るステージにゲルギエフが登場して観客に手を振る。すべての観客が熱い思いを共有した。アンコールが終わった際に感極まって涙を流すチェリストの女性....

私には間違いなく今年一番のコンサートだった。

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2008年10月 7日 (火)

ハーゲン弦楽四重奏団

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浜離宮朝日ホールでのコンサートを聴きに行った。

演目は以下。

モーツアルト/弦楽四重奏曲 第16番変ホ長調 「ハイドン・セット第3番」
ラベル/弦楽四重奏曲 ヘ長調
ドボルザーク/弦楽四重奏曲 第14番変イ長調

驚いたことに私にとって弦楽四重奏のライブ演奏は初めてだった。そして、もっと弦楽四重奏を聴かないとならない、と改めて思った。

元々ハーゲン家の4兄弟で始めたカルテットだが、現在第2ヴァイオリンは同じ父の弟子ではあるが兄弟ではない。見た感じ、チェロのクレメンス・ハーゲンが一番年長だろうか、全体を引き締めていた。

モーツアルトはザルツブルグ出身の彼らにとって得意中の得意なのか、自信に充ち満ちていた。そして弦楽四重奏の素晴らしさを感じさせてくれた。

ラベルは演奏の幅を見た。第1楽章ではヴィオラの音とその美しさを感じた。ピッチカートで始まる第2楽章は見ていても楽しい。オーケストレーション作りも見事。

ドボルザークはテクニックに裏打ちされた彼らの音楽が、ピンポイントで音を鳴らせていた。悪く言えば冷徹な、良く言えば完璧な音作りを垣間見た。

弦楽四重奏は音が満ちあふれる。ソロ楽器の良さと、皆がフォルテシモにするとオーケストラの広がり。楽器の力をフルに感じさせてくれる。

浜離宮アサヒホールも音響が良い。残念なのは歩いてカレッタまで行って食べた料理が今ひとつだったことぐらいか...(関係ないですね)

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2008年8月 1日 (金)

初オペラ:トリスタンとイゾルデ

昨日、午後から休暇を取って、生まれて初めてオペラを観に行きました。なんたってワーグナーのオペラ、長いです。一幕75分で合計三幕あるのです。午後3時に始まり、休憩を挟みながら終わったのはなんと午後8時半。

私のクラッシックの師匠(実は理髪店の経営者)は「初めてのオペラでワーグナー観に行くのは狂気の沙汰だ。まずはヴェルディとかプッチーニからでしょ。最初からワーグナーに行くとオペラ嫌いになる可能性があるよ。」と諭されていました。

結果...素晴らしい!感動しました。この75分X3幕をほぼ飽きることなく集中して観ることが出来たのです。

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パリ王立オペラは設立が1669年のルイ14世の時代にまで遡り、その歴史にあぐらをかくことなく、現代風に様々な取り組みをしています。今回は映像とのマッチングをかけており、ワーグナーを古典的(?)に演奏しつつも、後ろのスクリーンに大きな現代映像が写し込まれています。

一幕目はその映像がちょっと解釈が難しい...男女が同時に衣装を脱ぎ捨ててしまう。そして水桶に顔をつけたり、正座して上から水をかけられたり...。

二幕目はトリスタンとイゾルデが王の目を盗んで密会し、歓喜の歌が素晴らしい。映像も徐々に落ち着いたイメージで、演目とわかりやすくマッチングしてくる。

三幕目は再会の間際に死んでしまうトリスタンに対して、じっと悲しみを歌い込めるイゾルデ。

すべてが舞台の上ではなく、時に3階の客席(袖側)から歌い、トランペットが鳴り、様々な工夫がなされていた。

事前に映画のDVDを観て予習していたのですが、シナリオは違っていた。映画は短時間で観客を引き込むためにかなりの脚色がなされているのでしょう。初オペラなので常識がない私ですが、とにかくこの長い時間をたった6名、実際は70%ほどが2名によって歌われるという演奏する側も観劇する側にも忍耐が必要な演目。しかし力強さに圧倒されて、あっという間の数時間。

理髪店の師匠には悪いけど、ワーグナーから入った私はちゃんとオペラファンになったわけです(笑)。

次は何を観ようかな....

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2008年5月24日 (土)

フィラデルフィア管弦楽団

サントリーホールで行われたフィラデルフィア管弦楽団のコンサートに行ってきました。

会場に来て「これはいつものコンサートとは様相が違うぞ」と感じたのです。何が違うって、客層です。私は1階の前のほうの列にいたのですが、周りはどうも大企業の経営者とおぼしき方々がご夫婦で鑑賞に来られています。テレビやビジネス誌で見知った顔もちらほら。

プログラムを購入して、その中を読んで納得。協賛はJPモルガンでした。つまりはJPモルガンの顧客である日本を代表する企業の社長さん達を「ご招待」されている、ということですね。なんたってアメリカを代表するオーケストラの来日です。アメリカを代表する金融機関が協賛するのは当たり前といえば当たり前。

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まずは五嶋みどりのヴァイオリンによるチャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルトニ長調。彼女の渾身の演奏でした。初めて五嶋みどりの演奏を聴いたのですが、全身全霊で演奏をします。あの小さな体からは想像できないエネルギーが伝わってきます。まるで等身大の操り人形が舞台を飛び出したかのような演奏スタイル。

終わった瞬間に拍手の嵐。拍手はやまず、彼女は5回も舞台に挨拶に出てきました。

休憩のあとはプロコフィエフの交響曲大5番。ほかのオケとは違い、左側にチェロやコントラバスをおいた体制で、左側から重厚な低音で始まりました。前回はチェコフィルの、これぞボヘミアン、つまり悪い言い方をするとヨーロッパの田舎、といった演奏スタイルだったのですが、フィラデルフィアはモダン。奥に控える5名の打楽器奏者が楽器を持ち替えながら活躍する姿が印象的でした。エッシェンバッハもヨーロッパというよりモダンなアメリカンな動き。

演奏は始終興味を引きつけた素晴らしいものでした。終わった瞬間に、後ろの席の方が「素晴らしい」とつぶやいたのですが、皆同感でしょう。

それにしても拍手が五嶋みどりさんの演奏後から考えるとなんと貧弱だったことか。演奏のレベルから考えると残念ですが、裏を返すと彼女の人気の高さが伺えます。

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写真はアンコール

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