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2009年4月 4日 (土)

菊姫

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日本酒好きで石川県の銘酒「菊姫」を知らない人はまずいないでしょう。私がこれまで飲んだ数々の吟醸酒の中でも菊姫は別格でした。従兄弟の紹介でお邪魔して見学をする機会に恵まれたのは本当に幸せでした。そして私の記憶の最高の吟醸酒が実は菊姫酒造が意図して出荷したものではない、という事実を知ったのは、残念な意味でも、菊姫のこだわりを知った、という意味でも深いものがありました...。

まず時期的には残念ながら酒造りも終わったばかりの静かな時で、蔵人達のにぎやかな、そして蔵が活き活きした風景を見ることは出来ませんでした。しかし社長さんが若いマイスターに案内を頼んでくれていらっしゃったので、細かく説明を受けながら見学出来たのはとても良かった。

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米を自ら丹念に磨く装置にしても、室にしても、菊姫のこだわりは「ここまでか?」と思わせる徹底ぶりです。なかでもこのタンクは素晴らしい。タンクのこちら側に2カ所、給水栓と排水栓がありますね。発酵の際にここで水の流れを加減しながら、造る酒の種類と味に応じた細かい管理をしています。それはすべてコンピューター(というかタッチパネル式のカスタムメイドのシステム)で実現されています。たとえば8度に保つ設定をすると、システムが確実に8度に保ってくれます。昔はPCを使って制御していたけれど、PCのOSの世代交代のたびにシステムの移行がうまく行かず、やめてしまったとのこと。WindowsOSの市場戦略はここでは評価されていません...。

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とは言っても、こういう味のあるタンクもまだ健在なのですよね。

米もこだわりがあります。兵庫県の吉川町の特別な山田錦を15年前から確実に手に入れることが出来る栽培農家と契約。田植えも一緒にされているみたいですね。

さて、菊姫のこだわりはずばり「米の旨み」。生酒は年に1回、12月にしか出荷されません。それ以外の酒は火入れ(酵母を殺し)、蔵が「これだ」と思う味になるまでこの蔵で寝かされています。吟醸酒でさえ、3~5年寝かせてから出荷されています。そしてもちろんタンク毎の特徴を活かしてブレンドされているのです。

さて、以前にも書きましたが、私が飲んだ生涯最高の酒は阿佐ヶ谷の与っ太の利き酒会で出てきた「菊姫生吟醸5年古酒」です。5年経った生の吟醸。その話を柳社長にしたら「はて、うちでは造っていない」との回答。生酒は出荷したらそれで終わり。寝かせることはないそうです。それはどうも、入手した酒販店かお店が、自分で温度管理をしながら冷蔵庫で寝かせて置いたものらしいのです。

菊姫のこだわりは米の旨み。例外は12月の生酒。それ以外は見ていただくとすぐ分かりますが、菊姫らしい黄色の酒です。ちょっとした苦みもきいた、味わい深いお酒です。

私が感動して涙した酒は、実は蔵が意図したものではなく、購買者が意図して造った酒だったわけです。私はてっきり蔵が寝かせて、たまに友好的な酒販店に販売するのかと思っていました。全く誤解でした。

つまり、自分で探そうにも私が感動した酒は探せないわけです。むしろ12月に購入して自分で寝かせるしかないのかと....。いやしかし、12月に出荷されるのは「山廃純米原酒 無濾過生原酒」です。吟醸酒ではない。そこあたりは謎解きがまだありそうです。

(続く)

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